8-1.和解成立
1.過払い金返還についての和解基準
過払い金返還訴訟の提起を行う前の段階で、いくらまでの返還により和解に応じるかは、各司法書士事務所、弁護士事務所により異なる部分であると思います。みなし弁済を実質的に無効であると判断した平成18年1月13日最高裁判決(第2小法廷)以前であれば、過払い金元金の8割~9割の返還であれば和解に応じるケースも多くあったと思われます。なぜなら事案によっては、業者側が主張する「みなし弁済」が認められる場合もあり、その場合には過払い金の返還を受けれるどころか、逆に「利息制限法引直し前の残債務を返済しなければならない」との判断なされる可能性さえあったからです。
しかし、上記最高裁判決以後は特段の争点さえなければ、訴訟提起を行うことにより、過払い金元金+悪意の受益利息全額の返還が認められるケースが通常となりました。
このような現状からは、少なくとも過払い元金部分全額の返還でなければ、訴訟前でも和解に応じるべきではないでしょう。
また、100万円を超えるような過払い金元金が発生している事案では、悪意の受益利息部分だけでも10万円を超えるような場合も多々あります。そのような場合には過払い金元金全額だけではなく、悪意の受益利息部分も含めた返還を求めるようにしていくことが必要でしょう。
2.実際の業者側の対応
平成18年1月13日最高裁判決(第2小法廷)以降は、業者側も「みなし弁済は認められない」ことを前提にした和解交渉に応じてくることから、過払い元金全額に関しては訴訟前でも返還合意に至るケースが多くなってきました。しかし、その課程には当然ながら減額を求めてくる業者に対して、返還に応じない場合には過払い訴訟も辞さない強硬な姿勢にて交渉を進めることの積み重ねにより得られる結果であります。
それでは、訴訟提起前に過払い元金だけでなく、悪意の受益利息部分までも返還を受けることが可能でしょうか?現状では一部の業者に関しては可能な場合があります。しかし、多くの業者の対応は「悪意の受益利息は任意和解では返還しない。返還を求めたいなら訴訟して下さい」との回答が帰ってきます。その場合には、悪意の受益利息の金額や訴訟費用などを考慮し、訴訟手続を行い時間と費用をかけてまで、悪意の受益利息部分の返還を求めていくか否かを判断することになるケースが多いでしょう。
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