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平成19年7月17日最高裁判所第三小法廷判決(判例)

07年07月20日

平成19年7月17日最高裁判所第三小法廷判決

平成19年7月13日最高裁判所第二小法廷判決に続き過払い金の利息付加(悪意の受益5%)に関する新たな最高裁判所判決が出ました。

【事案の概要】
 業者側が貸付による貸金債権がそれぞれ別個のものであることを前提とする充当計算が相当であると主張しており(そのような計算書も提出している)、その場合には過払金の発生ではなく逆に貸金債務が残存することになっている場合に、過払金の受領が法律上の原因を欠くものであることを知っていたと考えられるか(民法704条の悪意の受益者といえるか)
【判決要旨】
 「貸金業者が制限超過部分を利息の債務の弁済として受領したが、その受領につき貸金業法43条1項の適用が認められないときは、当該貸金業者は、同項の適用があるとの認識を有しており、かつ、そのような認識を有するに至ったことがやむを得ないといえる特段の事情がある場合でない限り、法律上の原因がないことを知りながら過払金を取得した者、すなわち民法704条の「悪意の受益者」であると推定されるものというべきである。」

 「本訴において貸金業法43条1項の適用があることについて主張立証せず、本件各弁済の弁済金のうち、制限超過部分をその当時存在する他の貸金債権に充当することを前提として計算書を提出しているのであるから、上記各弁済金を受領した時点において貸金業法43条1項の適用があるとの認識を有していたとの主張をしているとはいえず、上記特段の事情を論ずる余地もないというほかない。被上告人(業者側)が受領した弁済金について本件各貸付けによる貸金債権が別個のものであることを前提とする充当計算をしてきたとしても、それによって上記判断が左右されることはない。」
と判示した。

【本判決の意義】
1.制限超過利息の受領が貸金業法43条1項の適用を満たさなければ原則として「民法704条の悪意の受益者」である。
2.過払金の計算方法の違いにより、貸金業法43条1項の適用を満たさない取引においても「過払金が発生していないと認識していた場合」でも上記1判断には影響しない。

 平成19年7月13日最高裁判所第二小法廷判決同様、みなし弁済が認められなければ原則「民法704条の悪意の受益者」であることを認めた判決です。
 本件における業者側の認識の特殊事情として、みなし弁済が認められない場合でも計算方法(貸付毎の個別取引)によっては「過払い金の発生までには至っていない」(貸金債務が残る)という取引であり、業者側としてはみなし弁済が認められない場合でも「貸付毎の個別取引であるため過払い金は発生していない」との認識を有していたと主張した事案でした。

 原審において業者側の取引毎の個別取引であるとの主張は排斥され、過払い金の計算においてはすべての取引を一連で計算するとの判断がなされていました(個別、一連取引の判断は本件上告審では審理の対象とはなっておりません)。

 本判決において「民法704条の悪意の受益者」といえるか否かの判断としては、過払い金の発生の有無の認識ではなく「貸金業法43条1項の適用があるとの認識」を有しているか否かをその判断の基礎とすることが明確に判示され、そのような認識を有していたとしても貸金業法43条1項の適用がなければ、原則として民法704条の悪意の受益者と推定されることが、平成19年7月13日最高裁判所第二小法廷判決同様判示されました。

 なお、本件原審においては平成3年5月27日に一旦完済した時点におけるそれまでの過払い金が時効消滅しているとの業者側の主張が認められ、その後の平成6月5日4日再取引開始以後の過払い金の返還のみが認められました。
 そして、平成6年5月4日より前の取引に係る過払い金返還請求に関する上告については、上告受理申立理由に該当しないことを理由として上告不受理となりました。


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