昭和44年11月25日
昭和44年11月25日最高裁第三小法廷判決(民集23巻11号2137頁)
【事案の概要】
昭和39年判決、同43年判決の事例は、いずれも利息・損害金を少しずつ支払った場合でした。本判決は、元利合計額を一括支払った場合に上記判例理論が適用されるかが争点とななりました。
【判決内容】
「債務者が利息制限法所定の制限をこえる金銭消費貸借上の利息・損害金を任意に支払ったときは、右制限をこえる部分は、民法491条により、残存元本に充当されるものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和35年(オ)第1151号、同39年11月18日言渡大法廷判決、民集189号1868頁参照)、また、債務者が利息制限法所定の制限をこえて任意に利息・損害金の支払を継続し、その制限超過分を元本に充当すると、計算上元本が完済となったとき、その後に支払われた金額は、債務が存在しないのにその弁済として支払われたものに外ならず、不当利得としてその返還を請求しうるものと解すべきことも当裁判所の判例の示すところである(昭和41年(オ)第1281号、同43年11月13日言渡大法廷判決、民集2212号2565頁参照)。
そして、この理は、債務者が利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金を、元本とともに任意に支払った場合においても、異なるものとはいえないから、その支払にあたり、充当に関して特段の指定がされないかぎり、利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金はこれを元本に充当し、なお残額のある場合は、元本に対する支払金をもってこれに充当すべく、債務者の支払った金額のうちその余の部分は、計算上元利合計額が完済された後にされた支払として、債務者において、民法の規定するところにより、不当利得の返還を請求することができるものと解するのが相当である。
けだし、そのように解しなければ、利息制限法所定の制限をこえる利息・損害金を順次弁済した債務者と、かかる利息・損害金を元本とともに弁済した債務者との間にいわれのない不均衡を生じ、利息制限法1条および4条の各2項の規定の解釈について、その統一を欠くにいたるからである。
ところで、本件において、原審の確定するところによれば、上告人は、被上告人らの先代から30万円を利息および弁済期後の遅延損害金とも月5分の約で借り受け、右貸付日から弁済期までの14か月22日間の月5分による利息・損害金を含め合計555、000円を任意に被上告人ら先代に支払ったというのであるから、他に特段の事情のないかぎり、元本30万円およびこれに対する右期間に相当する利息制限法所定の利率による利息・損害金をこえる部分について、上告人は被上告人らに対し、不当利息の返還を請求しうるものというべきである。」
【判決の意義】
制限超過利息の支払を行う場合、元本と共に支払をした場合とそうでない場合とによって、結論に差異を生じさせないように統一的な結論を判示した。【問題となった争点】
債務者が利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金を元本とともに任意に支払つた場合と右制限に従つた元利合計額をこえる支払額に対する不当利得返還請求の許否
【争点に対する判断】
債務者が利息制限法所定の制限をこえた利息・損害金を元本とともに任意に支払つた場合においては、その支払にあたり充当に関して特段の意思表示がないかぎり、右制限に従つた元利合計額をこえる支払額は、債務者において、不当利得として、その返還を請求することができると解すべきである。
みなとみらい司法書士事務所
代表者 司法書士 佐藤鋭一
〒231-0063
神奈川県横浜市中区海岸通4-20
F.bld.みなとみらい5F
FAX:045-650-6561