9.免責不許可事由の存在
免責不許可事由の存在を理由に自己破産手続きを断念されている方もいるかと思います。しかし、現在の裁判所の運用は免責不許可事由が存在する場合でも裁量により免責を認めているケースが非常に多いのが実情です。東京地裁や横浜地裁では少額管財制度も設け、管財人が債務者の更正が見込めると判断した場合には裁量により免責決定されるとの運用も行われています。
以下に掲げる裁判例は、免責不許可事由が存在する場合に裁判所が裁量により免責を認めた事例です。
①借金の原因が飲酒行為及び競輪にあった場合に免責を認めた裁判例
借金の原因が飲酒行為及び競輪にあった場合でも、本人が病気で労働能力がなく、将来も労働できる見込みがないこと、生活保護を受けていること等を考慮し、裁量による免責を認めた。(静岡地決平7・3・6消費者法ニュース27号37P)
②免責決定後10年以内の免責を認めた裁判例1
2回目の破産宣告後の免責申立てで前回の免責決定後10年以内で免責不許可事由が存在する場合であるが、債務者負担の背景には子供や夫の病気、予想外の夫の失職等の事情があること、前回の免責から10年近く経過していることから免責を許可した。(宇都宮地足利支決平8・1・26消費者法ニュース28号76P)
③免責決定後10年以内の免責を認めた裁判例2
前回の免責決定からわずか1年で破産・免責申立てがなされたケースで、債権のほとん日掛貸金業者の厳しい取立てに屈して再度生じた債務であることを考慮して、新得財産からの任意配当などを求めえることなく裁量免責を認めた(福岡高判平9・6・13消費者法ニュース32号86P)
④浪費の事実を認めながらも免責を認めた裁判例
クレジット会社等に対し合計4,100万円の債務があり、そのほとんどは特定の販売店と共謀した着物などの売買の架空契約によって発生した事案について、裁判所は浪費の事実を認めながらも、販売店に利用された側面があることは否定できない等の事情を考慮して免責決定をなした(岡山地決平8・4・5消費者法ニュース28号78P)
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