8.根保証契約
商工ローンにおける根保証契約が社会問題化したのは記憶に新しいことです。
以下の裁判例は、詐欺もしくは錯誤の成立を認めた注目すべき判例です。
①第三者詐欺を構成するとした裁判例
主たる債務者が資金繰りに苦慮し、すでに約1,500万円借入れをしていた貸金業者に200万円の追加融資を依頼したところ、貸金業者の社員は主たる債務者の義父が1,500万円の根保証をすることを条件に承諾した。主たる債務者は、義父に他の借入れがあったことを説明せずに「200万円の保証をお願いしたい」と依頼した。義父は承諾して、額面1,500万円の根保証契約書に署名した。契約締結の際、主たる債務者および社員は、根保証契約の意味および既存債務が1,500万円であることを説明しなかった。判決は、主たる債務者が既存債務を黙秘することは詐欺に該当し、社員が主たる債務者の詐欺行為について悪意であるとして第三者詐欺の成立を認めて、貸金業者の請求を棄却した。(新潟地判平11・11・5判タ1019号150P)
②錯誤無効と認定した裁判例1
主たる債務者が、保証契約時すでに既存債務550万円があるのに、これを秘したうえ、今後同社から借りることはない旨を言明し、側にいた貸金業者の担当者は上記説明を否定せず、200万円の公正証書作成嘱託の委任状を取り付けて保証の対象が200万円だけであるとの誤信を助長したこと、1,000万円の極度額については、担当者が「一応、枠ですので書いてください。」と言ったことなどの事情を認定し、これらの事情から保証契約が200万円の貸金のみを対象とするとの誤信は当然であり、また、将来200万円以外の貸付がなされても保証人の了解がない限り保証責任はないと理解したことも無理からぬことと認定して、保証契約の錯誤無効を認めた(高松高判平11・11・18判時1721号85P)
③錯誤無効と認定した裁判例2
極度額1,000万円の根保証契約のうち100万円の範囲で普通の連帯保証(確定保証)を認め、それを超える部分は錯誤で無効とした。(東京高判平11・12・15金法1576号62P)
④根保証の法形式自体を公序良俗違反とした裁判例
根保証の法形式の利用などが公序良俗違反とされ、根保証文言のある承諾書が差し入れられても意思表示の合致がないか心裡留保で無効であるとされた事例。(東京高判平13・2・20金判1111号3P)
みなとみらい司法書士事務所
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