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4.みなし弁済

自己破産イメージ 貸金業法43条1項(みなし弁済)が認められる要件は以下の3つであります。

①利息として任意に支払ったこと
②契約に際し17条契約書面の交付
③弁済の都度直ちに18条書面交付

しかし平成16年2月最高裁判例により上記要件は厳格に解すべきと判断されたことにより、今後はみなし弁済を主張する業者は更に減るものと思われます。

(1)要件1(任意性)

①利息天引きでは任意性は認められないとした裁判例
東京地判平2・12・10判タ748号169P,大阪地判平11・3・30判時1700号84Pの2判決、大阪高判11・12・15(公刊物未搭載)、東京高判平12・7・24判時1747号104P

②年金担保融資における任意性を否定した裁判例
債権者が年金証書を預かり弁済に充当していたケースで任意性は否定された。 福岡地小倉支判平10・2・26判時1657号102P

③ATM支払いの場合に任意性を否定した裁判例
ATM(現金自動預金支払機)による返済の場合、利用者は金員の投了を完了し、ATM収納され、利用明細書が発行されるまで当該支払いによる利息、損害金および元金に充当される具体的金額を知り得ないから、債務者らの支払金が利息、損害金の任意の支払いとはいえない(東京地判平9・2・21判時1624号116P)

注意 これと反対の趣旨(任意性を認めた)の判決が下記裁判例である 
ATMを利用して貸金業者の口座に振り込み送金する方法で行った返済につき、1回の定額による貸付であり、契約証書には利息の具体的計算方法画明記され、事前に交付された償還表には予定どおり分割支払いした場合の利息額が明記されていたから、毎月の支払いによっていくら利息を支払うことになるかについて自ら計算して把握することは容易であったものであり、毎月の支払い後間もない時期に充当関係が明記された領収書兼利用明細書の送付をうけていたにもかかわらず、意義を述べることなく支払いを継続したことなどを理由として、事故の自由な意思によって利息の支払いを行ったとして、貸金業法43条1項の適用を認めた(東京高判平10・8・21判時1679号37P)

上記ATM支払いにおける任意性の有無の判決は、利息額の算定が可能かどうか異なる事例であり、必ずしも相反するものではないが、東京高裁平成10年8月21日の判決が利息が算定可能なことからみなし弁済の主張を認めたことには問題がある。現在の低金利時代における過剰貸付の現状によれば、みなし弁済の規定が必要なものかどうか疑問であり、改正の必要性が指摘されているからである。

(2)要件2(17条書面)

※記載事項の充足
最高裁平成2年1月22日判決(民集44巻1号322P)は貸金業法43条について、債務者に契約内容・充当関係が不明確による不利益が生じないようにするために17条・18条書面の交付を必要としているとして、記載事項は「法の趣旨に合致するものでなければならない」というのみであった。この判例の法曹界発行の最高裁判所判例解説民集篇(平成2年度)では「記載事項を網羅していること、また、その記載が事実と寸分違わず一致していることを要するという杓子定規な解釈・適用ではなく、事案に即した幅のある弾力的な解釈・適用を容認する趣旨」とされている。
下級審では貸金業法18条1項の記載事項(内閣府令事項を含む)全部必要とするものが多い。

①包括的貸付契約で具体的性を要求した裁判例 包括的貸付契約で具体的な借入金を当てはめて、返済期間・回数・期日・金額・充当関係等時間を掛けて計算しなければ理解できない程度の記載の書面では17条書面にならない(名古屋高判平8・10・23判時1600号103P)

②17条書面は1通であることを要件とした裁判例
17条書面は1通であることが必要。他の書面で記載漏れを補ったり、書面外の事情で補充することは認められない。(東京地判平10・1・21判タ1016号231P、東京高判平13・1・25消費者法ニュース47号42P)

③貸付ごとの書面で17条要件充足を要求した裁判例
包括契約とそれに基づいて個々の貸付を行う契約においては両書面で17条要件充足する必要がある(富山地判平4・10・15判時1463号144P)

④日歩による記載、貸金業登録番号の記載漏れにより要件充足を否定した裁判例
日歩による記載は「貸付の利率」要件を満たさない。貸金業登録番号の記載漏れでは17条書面にならない(京都地判昭63・8・19判時1318号106P)

⑤自由返済方式でも厳格な要件を必要とした裁判例
いわゆる「自由返済方式」の場合でも返済期間・回数の記載は必要(東京簡判平12・5・30消費者法ニュース45号13P)

⑥借換時に交付する17条書面に旧債務の記載を必要とした裁判例
借換時に交付する17条書面には旧債務の内容と借換の事実の記載が必要(東京地判平10・1・21判タ1016号231P,大阪地判平2・1・19判タ738号160P)

⑦支払い日が休日に該当する場合であっても17条書面に該当しうるとした裁判例
月分割支払いの場合「毎月○日」との記載について休日に該当した場合の扱いが不明確だから17条書面にあたらないとした高裁判例があったが、最判平11・3・11民宗3巻3号451Pは現代の一般取引慣行からよく営業日と解する黙示の合意を推認できると判示した。

(3)要件3(18条書面)

①真実に反する記載では貸金業法18条書面にならないとした裁判例
2回の貸付を1個の貸付と記載した領収書のケース(京都地判昭63・8・19判時1318号106P) 利息制限法3条で利息とみなされる「事務取り扱い手数料・調査料」の支払いを立替金に銃取るすると記載した受取証書のケース(東京地判昭61・10・3判時1250号70P)

②銀行振込みの場合の受取証書の交付義務を厳格に要求した裁判例
貸金業法18条2項は、銀行振込弁済の場合は請求があった場合にだけ受取証書交付義務があると規定しているので、請求なく交付しなかった場合、貸金業法43条の適用はどうなるか問題だが、最高裁は特段の事情のない限り振込確認後直ちに交付しないと43条の適用はないという(最判平11・1・21金判1063号11P)

③その他
他に貸金業法43条の要件として、「利息として」の支払いの認識の問題がある。 判例は、債務者が支払いをなす場合、利息制限法超過部分の契約が向こうであることまでの認識を要しないとする認識説(最判平2・1・22判時1349号58P)を採用しているが、利息の具体的金額の認識まで支払い時に必要とするかは判時していない。ATM支払いの場合、事前に充当予定額が示されず、充当計算が記載された受取証書は支払い後に交付されるので貸金業法43条適用に有無が問題になるが、「この点に関し、具体的利息金額の認識が必要としつつ適用結果は反対になった高裁判例がある(東京高判平9・11・17金法1544号67Pと、東京高判平11・5・27判時1679号37P)


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